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こころの健康に参考になる本の紹介 カウマンの本棚⑫
「優れたリーダーは、なぜ傾聴力を磨くのか?」
林 健太郎 著
三笠書房(22.7.15発行 本体1400円)
著者は、国際コーチ連盟日本支部創設者。コーチングセミナー講師です。
日本の企業でも、「部下の話を聞く」ことが、業務の1つとして評価対象
になってきていますが、その手法については、マニュアルがほぼない状態
です。確かに、仕事の帰りに一杯やりながら愚痴を聞くという時代ではあ
りませんから、仕事の時間内にワンオンワンミーティングすることが必要
なのかもしれません。
優れたリーダー(上司)は、傾聴力を高めて、部下の育成に成果をあげ
ていますよ。という話で、その手法についてのマニュアル書です。もちろ
ん、カウンセリングの手法にも重複するところが多数あり興味深いです。
部下の話を正しく聞くことのメリットは、例えば、
・部下と話す時間が増えることで、部下についてより多くの情報を入手で
きる。
・部下との信頼関係が形成され、格段に仕事が進めやすくなる。
・部下が自分で考えて行動できるように成長し、チーム力が増す。
・仕事の効率がアップし、時間短縮が図れる。
・上司としてすべき仕事に集中できる。
など、数え切れません。ということです。
部下の話を聞くときの実践手法は第4章にまとめられています。
手順①部下に「静かな時間」を提供しよう
「話したいことを話していいよ」と言われても、せいぜい4~5分なので、この間は、黙って部下の話を聞くことから始める。
手順②復唱から始めてみよう
「〇〇が、〇〇なんですよ」に、「〇〇が、〇〇なんだね」と復唱するやり方で、心理的安全性の確保につながる。カウンセリングではオウム返しと言われています。
手順③承認の言葉を使ってみよう
発言、行動、プロセス、見解などを承認する言葉を返す。
手順④合いの手を入れてみよう
具体的には「そうなんですね」→「承認と促し」
「というと」→「背景情報を聞く」
「ほかには」→「話題の拡散」
「もう少し詳しく」→「話題の深掘り」
手順⑤未来を問うてみよう
手順⑥感情を取ってみよう
手順⑦洞察を促してみよう
手順⑧方向性を例示しよう
手順⑨相手(部下)の意思を聞こう
⑤~⑨は、相手の許可をとることが大切です。具体的には、「私の意見を言ってもいいかな」「一つ質問してもいいかな」と、許可取りをするのです。
手順⑩笑って接してみよう
「非言語」が一番伝わりやすいのは、表情ですから、大切です。雰囲気を決めてしまいます。
興味深かったのは、1回や2回でうまくいくはずはない、というアドバイス。
そして、聞き手は「自分との対話」も大切(p206)という指摘です。これは、カウンセラーが一番迷うことが多い課題でもあるのです。やはり、傾聴は奥が深いです。
