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こころの健康に参考になる本の紹介 カウマンの本棚㉚

          「じつは残酷な「ほめ育て社会」」

                    榎本博明 著

            日経プレミアシリーズ(26.5.7発行 本体900円)

 

                    著者は長年大学教育に携わってきた心理学者です。

                    学校でも、家庭でも、職場でも、叱られたり厳しいことを言われたり

                   せず、絶えずほめてもらえる社会になってきた。この「ほめ育て社会」

                   を生きるのは、ほんとうに幸せなことなのか。じつはとても残酷な社会

                   なのではないか。と著者は言います。

 

                    気づきがあったところ

                   〇 傷つけたら大変だと思って甘やかすことで、かえって傷つきやすい

                    心が生み出されていくということである。適度に傷つくことによっ

                    て、傷つきにくい心になっていく。そこにもっと目を向けるべきな

                    のではないか(p34)

                   〇 元々モチベーションが高い人の場合は、褒めて育てられようが、

                    褒められずに育てられようがそうした環境の影響を受けにくい。

                    なぜなら、褒めてもらえることがモチベーションになっているわけで

                    はなく、できないことができるようになるなど、自分の成長を実感で

                    きることがモチベーションになっていたり、困難にもめげずに頑張り

                    続けることができる自分を実感することがモチベーションになってい

                    たりするからだ(p56)

〇 少し前までは就職した会社がブラック過ぎて耐えられずに離職するという早期離職が目立っていたが、最近では就職した会社がホワイトすぎて不安になり、離職するという早期離職も目立つようになってきた(p61)

〇 甘い環境では自分で自分を奮い立たせる人しか壁を乗り越えられない。(p75)

〇 褒めて、育てるのがよいのだといった空気が支配的な時代に、子どもたちに注意をしたり、叱ったりするのは非常に困難になっている。

 実際、先生の中には「こんな時代に子供たちのために厳しいことを言うなんて、リスクがありすぎてできませんよ」などという人もいる。(p81)

〇 親子が友だちのような関係になり、我が子を家庭外の世界に旅立たせようとしない親が増えているように思われる。とくに母娘間の相互自立ができていない親子が目立つことから、一卵性母娘などと言われることもある。それは親子の共依存の一種であり、子供の自立を妨げとなる。その背景として、母親の側の分離不安がある。いわゆる子離れができず、子どもが自分から離れていかないように、子供の自立の足を引っ張るのである。(p86)

〇 幼稚園教諭にとってとくに気になる傾向として、まずひとつは、自己中心的で、周囲に合わせられない子、いわば協調性がなく友達とうまく遊べない子が目立つこと。もう一つは、忍耐力、基本的生活習慣、自発性など、いわば自己コントロール力の乏しい子が目立つこと。総合すれば、自分の感情や衝動、行動を必要に応じてうまくコントロールするのが苦手な子が多いのが気になるというわけである。これはまさに最近教育現場で重要視されている非認知能力の欠如を意味している。(p100)

〇 非認知能力というのは忍耐力や根気強さ、自分を動機づける能力(やる気を燃やす能力)、必要に応じて、感情や衝動を抑制する能力、協調性や共感力などを指すが、その中核をなすのが自己コントロール力である。その自己コントロール力が、人生の成功を大きく左右することが、多くの心理学の研究によって実証されている。(p102)

〇 日本の親が子供に甘く、なかなか厳しく育てることができないため、それを補っていたのが共同体であり、共同体が子どもを一人前にするために厳しく鍛える機能を担っていた=今や、鍛えてくれる存在は見当たらない(p142)

〇 「心が折れる」という言葉があるが。子どもの心は柔軟で、叱られても簡単には折れない。むしろ、叱られた経験がない子は打たれ弱く、傷つきやすくなり、きつい状況でがんばれない。そこに若者の生きづらさがある。

 現在の職場を緩いと感じる者が36%、緩いと感じない者が31%となっており、緩いと感じる者の方が多くなっている(p156)

〇 従業員側は心理的安全性ばかりを強調する世間の風潮に流されずに、自分のなかの不満や不安と向き合い、自分がどのような仕事生活を求めているのかをじっくり検討してみる必要があるだろう。(p163)

〇 現実は思い通りにならないことが多いからこそ感情コントロールが大切である。感情をコントロール力を高めるために、まず第一に心がけるべきは、感情反応を抑え、認知反応を促進することである。その他、➀ひと呼吸置く②怒りを鎮めるセルフトークを準備しておく③相手の視点に立ってみる④上から目線に立ってみる。などが有効である。(p166)

〇 求められるのは、失敗への対処能力を高めること、そして失敗から学ぶことである。大事なのは失敗しないことではなく、失敗を恐れずに試行錯誤すること、そして失敗してもめげずに前を向き、失敗を糧にして前進することである。(p173)

〇 「できる人」は、不安が強く、自分の能力を実際よりも低く見積もりがちであるため、自分はまだまだ力不足だと感じる。それが成長の原動力となって、ますますできる人になっていく。

 自分のなかの不安を活かせばいいんだ、ということがわかるはずだ。(p179)

〇 ストレスに弱く、すぐに「心が折れた」と言い出す人が増えている理由として、「ほめ育て社会」において傷つかないようにと過保護に育てられたということがあるが、その他に社会的スキルが未熟なため周囲の人たちからサポートが得られないということがある(p191)

〇 大事なのは、自立的に動くことであり、モチベーションを他人まかせにせず、自己コントロールできるようにすることである。自分の中にモチベーションの軸を持つようにするのである(P201)

 
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