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「つながらない覚悟」
岸見一郎著
PHP新書(23.12.28発行 本1000円)
著者は「嫌われる勇気」の著者で、ギリシャ哲学とアドラー心
理学を研究されている方です。なので、「つながらない覚悟」と
いうことは、つながらない覚悟がなければ、真のつながりはでき
ないという主旨の本だなと予想されますね。
人は一人では生きられない。一人で暮らしていても、誰からの
助けも無しに生きることはできない。大小、強弱あるが、他人と
のつながりがなければ、生きていけない。しかし、偽りのつなが
りは「支配する人」と「依存する人」の関係を発生させる。同調
圧力にもなる。これが必ずしも悪いことではなく、例えば幼児と
親のような必然性もある。でも、子どもが成長しても、干渉し過
ぎれば、反抗されるか、子どもが親に依存して生きるかになって
しまう。
「何を言われても従う子供ばかりであれば、子育てや教育は楽
だろう。しかし、大人は子供を従順にしてはいけないのである。それはおかしいのではないかといえない従順な生徒は、大人になった時、理不尽な命令を下す上司に対して反論しないだろう。また、悪政を疑問もなく受け入れてしまうようになる」(p58)
同調圧力に負けないで、自分の意見、行動が執れる人は、アドラーがいう「共同体感覚」を強く持っている人だという。つまり、その場に居る全員が反対でも、地球上には自分を支持してくれる人がいると信じることができるかだそうな。
自分の意に反して無理につながろうとしないためには、そのつながりよりも大きなつながり、つまり共同体感覚をイメージできるかが大切ということか。
多くの人は自分にしか関心がないので、共同体感覚を意識的に発達させなければならない。そのためには、他者への関心を持ち続けることが必要になる。
「それでは、どうすれば他者への関心を引き出すことができるだろうか。まず叱らないことである。叱られると他者を敵と思い、他者に関心を持たなくなる。他者に関心を持たない人は、他者と自分がつながっているとは思わない。次にほめないことである。ほめられると、他者を気遣い援助したことを認めてもらわなければ、適切なことをしなくなる。そのような人は自分にしか関心がないのである。叱りもほめもしない代わりに何をすればいいか。他者や自分の貢献に注目するのである。アドラーは「自分に価値があると思える時にだけ、勇気を持てる」といっている。どんな時に自分に価値があると思えるかといえば、自分が何らかの仕方で役に立てていると感じるという意味での貢献感がある時である。自分に価値があると思えれば、対人関係、人とのつながりの中に入って行くことができる。そのつながりは強いられたものではなく、自発的に形成されたものであり、これこそが真のつながりである」(p230) うーん。難しいね。