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こころの健康に参考になる本の紹介 カウマンの本棚⑯
「対話のトリセツ」
黒川伊保子 著
講談社+α新書(25.4.1発行 本体900円)
著者は、「トリセツ」シリーズでお馴染みであり、NHK
のラジオ「ふんわり」のパーソナリティでも有名ですね。
まずは、人間の脳には、タテ型思考とヨコ型思考があ
ることを説明しています。「トリセツ」シリーズでは定番
の概念で、男性脳と女性脳という言い方もあります。この
違いを理解すると、
〇対話の奥義は、シンプル、以下の二つである。
①相手の話は、共感で受ける。
②自分の話は、結論から始める。(p94)
そして、それぞれのコツは、というと、
〇 共感で受けるコツ1「いいね」か「わかる」で受ける
と覚悟を決める(p97)
〇共感で受けるコツ2 相手の形容詞を反復する(p105)
〇共感で受けるコツ3「そうか」と気持ちだけ受け止め
る(反復しづらい時)(p106)
〇共感で受けるコツ4 ときどき、質問や感想を入れる
(p108)
このあたりは、カウンセリングの聴き方と同じです。
〇結論から話すコツ1 最初の一文で、結論を言う(p110)
〇結論から話すコツ2 テーマを言う。数字を言う(p115)
〇結論から話すコツ3 言いにくい結論にはキャッチフレーズを(p119)
〇結論から話すコツ4 まとまっていない話は、最初にそう言う(p123)
〇結論から話すコツ5 無理を言われたら、できることから言う(p128)
〇結論から話すコツ6 現場の質問は、Yes/No型で(p129)
を実践すれば、あらゆる対話がスムーズになるというのです。
プラスして、無駄話や冗談が安心してできる環境が重要とのことで、
〇Google社が4年にも及ぶ社内調査の結果、明らかになったことがあったと発表した。「成果の出せるチームと、そうでないチームの差はたった一つ。心理的安全性が確保されているか否かだ」と。言い換えれば「無駄話ができないと、企業価値が創生できない」ということになる(p136)
よもやま話ができる環境が、脳の働きを良くし、新しい発想に繋がる、ですね。
〇 これまで人間がやってきたタスクの多くAIが代行する時代、人間の役割は、勘やインスピレーションを働かせて、うまくAIと対話しながら発想力を羽ばたかせることにかかってきている。今や、すべての組織に、心理的安全性を確保する対話術の導入が急務なのである。もちろん、次世代人材を育てている、家庭という組織にも(p138)
〇「心理的安全性を確保する対話術」とは、要は日ごろから「なんでもない話」ができるようにしようということである。そして、実は「何でもない話」こそ、脳にとってあまりにも素晴らしいエクササイズなのだ(p138)
〇なんでもない話の効用。①勘が働くようになる②テクニックが向上する③自己肯定感を養い、失敗に強くなれる④指示やダメ出しに心が折れない⑤ヒューマンエラーが減る(p145)
〇無駄話によって、勘が働いているからこそ、自己肯定感が高まっているからこそ、心が通じ合っていると感じているからこそ、若い人たちは命令系統の縦型対話を受け入れられる。今、使命を全うする対話までもがハラスメント扱いされてしまうのは、無駄話が足りないせいではないだろうか(p153)
〇心理的安全性を守るための対話の二つの原則。
①相手の第一声をいきなり否定しない。
②自分の第一声をダメ出しで始めない。(ねぎらいや感謝で始めよう)(p156)
とはいえ、注意あり。
〇ことばを発する前に、実は、表情で多くの勝負が決まっているのである。時にはどんなに素晴らしい言葉で誘導しても、表情のマイナスを取り戻せないこともある。コミュニケーションのキモは結局のところ表情なのである。表情は対話を下支えする、大切なコミュニケーション・ファクターなのである。
