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こころの健康に参考になる本の紹介 カウマンの本棚⑬
「前を向きたくとも向けない人」
過去を引きずる人の深層心理
加藤 諦三 著
PHP新書(25.1.29発行 本体1100円)
著者は、テレフォン人生相談で有名ですので、ご存知の方が
多いのではないでしょうか。
同じ出来事に遭遇しても、その感情、対応、ダメージ等は、
人それぞれですよね。例えば、上司から怒鳴られても、うつ病
になる人もいれば、ぜんぜん気にしない人もいますよね。不思
議です。これは、各個人のそれまでの経験、体験の蓄積が違う
からだと著者は言います。しかも、特に幼児期に親等から受け
た処遇により形成され、それを大人になっても引きずっている
人が多く、このために必要以上に悪い方へ考え、思考の悪循環
にはまり、体調等不具合を引き起こす原因になっているという
のです。
〇 心の底でいつも脅えているのはなぜか。それは、幼い頃か
ら誰も自分を真剣に保護してくれた人がいないからであろう
(P41)
〇 さまざまな苦しい人間関係の中で成長して、自律神経失調
症なり、不眠症なり、悩み依存症になっている人もいる。こう
いう人は、自分に対する眼差しを少し優しいものにしてほし
い。
自分はそれだけの苦しい環境に耐えて生きてきたのだといつ
も小さな誇りを持つことだ。その点を忘れて、自己蔑視に至ってはならない(p42)
何度も繰り返される悪循環をもたらす思考パターンをやめるためには、自分を不幸と思うことをやめることが、まず必要です。その第1歩は親を受け入れる(許す)ことだといいます。
〇 人生好転のきっかけは、不幸を受け入れることである。具体的には親を受け入れるということが多い(P45)
〇 「もっと早く」「もっと効率的に」というような焦りは、不幸を受け入れていない心から生み出される。心の居場所がない家で成長してくると、陥りがちである(p47)
〇 今の悩みは、その人が過去の出来事にどう対処してきたのかが影響している。つまり、悩みの核心は過去にある(P65)
〇 気にしても仕方がないことが気になった時には、昔の何かが再体験されている(P69)
〇 自分は不幸だと思っている人は、そういう思いに自分は今、酔っているのだと考えることである(P78)
次に大切なのは、他人の立場に立って考えることができるかです。
〇 少し視野を広げれば、少し価値観を変えれば、幸せになれるのに、幸せになれない人が多い。視点を増やすこと---それが幸せへの道である。
〇 柔軟な心構えを育むには、私たちがネガティブと思う行動にも、当時者にはそうするだけの正当な理由があるのかもしれないと覚えておくことが助けとなる(P105)
〇 人はそう簡単に自己執着や自己防衛を脱することはできないけれど、それを乗り越える以外に生き延びる道はない。自分が変わる以外に生き延びる道はない。
自己執着や自己防衛を乗り越えるとは、視点を変えるということでもある。自分から見ると「こう」だが、相手からみると「こうではない」というように、視点を変えることである(p120)
そして、自分の弱さを知っており、受け入れている人が最強マインドの人であるとのこと。
〇 こちらの気持ちが怯えていると、現実には脅威でない事態が脅威に感じられる(P163)
〇 本当に強い人は、自分の弱さを受け入れている人である。そして、自分の弱点が表れても落ち着いていられる人である。弱いところのない人間など人間ではない。それはオバケである。性格が強いとは、意識と無意識の乖離がないことである(P206)
〇 離婚して不幸な人は、ついつい「私は離婚したから不幸」と思いがちである。しかし、離婚して不幸な人は、結婚していても不幸な人である。でなければ離婚はしない。ことは単純で、不幸な人が離婚をしただけなのである。離婚して不幸な人は、視野が狭いから不幸なだけで、離婚と不幸は関係ない(P212)
〇自分の今の不幸の原因を正しく理解しない限り、死ぬまで幸せにはなれない。努力しても、努力の結果は裏目に出る。「ありのままの自分でいい」というのは、開き直りの言葉ではない。運のわるいときには運が悪いと受け入れられることである。「今日は運が悪い。今日はついていない」と覚悟を決めてジタバタしないことである。
人がどん底から不死鳥のように蘇る「フェニックス現象」をもたらすのは、古い心構えを変えることである。
ちょっとした心の持ち方で、幸せか不幸せかが決まる(P216)
