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こころの健康に参考になる本の紹介 カウマンの本棚⑦
「正解のない雑談」 大平一枝著
KADOKAWA(24.4.4発行 本体1700円)
サブタイトルが「言葉にできないモヤモヤとの付き合い方」で著
者と13名の対談集です。が、カラー写真も入っており、あくまで、
著者の思索が中心で、対談の一部が引用されているというスタイル
で、エッセイ集ともいえそうです。
「ふわふわした感情」「名指せない感情」についてがテーマなの
で、1つ1つの対談は、掴みどころがなく、分かったような分から
ないような気分になり、物足りなく、もっと深く、突っ込まないと
いけないでしょう、と私には思えました。ただ、トータルとして
は、「自分はどうなんだろう」と考えさせられました。
それぞれのタイトルが優悦なので記します。
「努力してもままならないことがあると悟ところから本当の人生が
始まる。」
「自己肯定感が低い自分と機嫌よく付き合っていく」
「常に自信がない不安思想と折り合っていく。自分のトリセツの作
り方」
「孤独や言葉にできないというのは、心当たりのある感情」
「自称生き方ベタな自分を俯瞰する」
「悩みはなくならない。だから弱音を呑気に言える人間でありた
い」
「自分がいつも、一番の親友」
「ここからの人生は、独りよがりでいこうと決めた」
「愛すべき孤独。寄り添うべき孤独」
「さまよう時間が自分を下支えする」
「世界はなんて広いんだ。一人ぼっちがたくさんいる」
「名もなき感情にラベルを貼ってしまうのは、もったいない。」
「感情が自分の真ん中にちゃんとあるか」
カウンセリングの基本は、来談者の感情を聴き出すことですが、そもそも、感情をまるまる言語化することなどできないのであって、例えば「寂しい」と話す来談者に「寂しいのですね」と返してはヘボカウンセラーとなる。
「寂しい」の奥にある(あるいは横に広がる)ニュアンスを聴いていく必要があるとされている。あなたの「寂しい」と私の「寂しい」とは、同じではないので、分かったつもりになってはいけない、と。
しかし、そのさらに前提として、自分の感情を言語化したり、吟味したりすることってあるのだろうかと考えてしまう。大抵の場合、仕事や家族などの目の前の対応に追われて、本当はゆっくり考えなければならないはずの、自分の感情に向かい合っていないことが多い。正面から考えたり、迷ったりすることが恐い場合もあるし、本著でも言うように、言葉にできないことも多いし、あいまいなままにして置きたいこともあるのだ。
対談者は、それぞれ、しっかり自分を見つめ、自分の生き方を持っている方々だ。その答えが「あいまいでいい。答えはない」というのだから、読者も癒される。