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こころの健康に参考になる本の紹介 カウマンの本棚⑤
「「愛着障害」なのに「発達障害」と
診断される人たち」 岡田尊司著
幻冬舎新書(24.3.25発行 本体1020円)
「発達障害」と診断されるケースが急増しているが、実は、「愛着障害」が
「発達障害」とされているケースが多いためと著者はみている。
「本来、子供の発達や成長というものは一応なものではない。定型的と考え
られている発達が絶対の基準というわけではない。各人の発達のプロセスは
それぞれ違いがあって当然であるし、一般に考えられている以上に発達の仕
方というものは個人差がある。男の子と女の子という性差によっても、発達
の仕方はかなり違ったものになってくるし、その子の持って生まれた、遺伝
形質によっても異なるタイプの発達の仕方をする。
ところが発達障害という考え方が行き過ぎると。平均的ないわゆる定型発
達が本来期待される健常な発達であり、そうでない発達の仕方は発達に問題
が生じた「障害」であるという見方になってしまいかねない。(p6)
愛着とは、子供と親の間に生まれる絆である。この場合の親とは遺伝的な
親というよりも、むしろ育ての親(養育者)を意味する。血がつながっていても、その子を育てなければ愛着は生まれない。子供にとっても親にとってもそうである。愛着とは相互的な現象なのである。つまり、愛着とは生まれてから後に獲得されるものなのである。いくら健康で何の欠陥もなく生まれてきても、養育者にちゃんと育てられなければ、安定した愛着は育まれない。愛着は養育者という他者の献身があってはじめて成り立つ現象なのである。(P97)
さまざまな事情により、親からの愛情や関心が不足する中で育った子供は、安定した愛着を育むことができず、不安定な愛着はその後の発達全体から、さらには、その後の生き方や病気のリスク、老化の速度や寿命にまで影響が及ぶことがわかっている。
その意味で「愛着」は第2の遺伝子といっても決して過言ではない。(p118)
発達障害と愛着障害は症状が似ている。このため、専門家でも見分けるのはたいへんである。しかし、発達障害であれば、個人の生まれながらの資質であるため、親にとっては、愛着障害より受け入れやすい。また、医者側も、薬の処方など、治療がやりやすい。このため、愛着障害が、発達障害と診断されることが多いのではないかと著者はみている。
子供の、特性をその子の一部として、肯定的に受け止めることが、最も良い結果につながりやすい。特に愛着障害や環境要因の関与が大きい場合には、遺伝要因による純粋の発達障害による場合に比べて、変化する余地が大きく、周囲の受け止め方や関わり方次第で、大きく状況が変わる可能性もある。本人の現状や課題を否定的に見て責めるのではなく、むしろ受け入れてよい部分に目を注ぐということが、思いがけないような成長や変化をもたらすのである。
それを「発達障害」として片づけてしまうことは、その子に起きている問題をごまかすだけでなく、その子が本来持っていた、可能性までも奪うことにならないか。ことに虐待や否定的な養育が隠れた要因になっていた場合、本当に必要な改善のチャンスさえ閉ざしてしまうことにならないか、心配である。(p196)
「発達障害」であっても、それを個性として認識し、養育環境を整えれば、長所が伸びて、世界的にも活躍することが可能であり、P198からは、具体例を挙げて、説明しています。トムクルーズ、スティーブジョブズ、ヒッチコック、ザッカーバーグ、ビルゲイツ、ジェフベゾス、イーロンマスク。そうそうたるメンバーですね。