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こころの健康に参考になる本の紹介 カウマンの本棚㉗
「抱え込む男たち」
奥田祥子 著
朝日新書(25.3.30発行 本体900円)
25年間にわたり1500人を継続取材されてきた著者が、男の生きづらさにつ
いての気づきについてまとめています。それは男性のケア力の欠如によるの
もではないかというのです。
「男性は、怒りや不安、悲しみなどのネガティブな感情も、職場や家庭・私
生活で起きる深刻な問題も、すべてを抱え込んでしまっている。男性が他者は
もちろん、自分に対しても「ケアする」ことに不慣れで、「ケアされる」こと
もないがしろにしてきたことに起因している。本書では、問題の真相を実例か
ら浮かび上がらせ、社会的背景や心理的要因を探る。そして、ケア力の欠如
が、社会構造として固定化し、男性が生きづらい「檻」となるメカニズムを解
明する。相手も自分自身も労わり、お互いに思いやるケアの実践を男性に促
し、ケアを介した人と人との絆の可能性を考えたい」
気づきがあったところ
〇 メディア報道も相まって、男性とケアに関する文脈では、育児や介護に取
り組むことの難しさに。焦点を絞って。議論する傾向にある。だが、個人差は
あるものの、そもそも男性の相手に対する気配りや思いやりの乏しさ・欠如
が、育児、介護などの向き合う上で大きな困難を招いているケースが非常に多い(p39)
〇 他者に共感する能力に優れ、ヨコの関係を得意とする女性に対し、男性は感情よりも問題解決や原因究明を重視し、権力や競争に価値を求めるため、命令する上司とそれに従う部下の関係性を自明の理と捉える傾向がある。男性に特徴的な価値観が、男性自身がケア力を育むことを拒んでいるともいえる(p78)
〇 必要なのが、アサーティブネス、すなわち自身の考えなどを一方的に強引に押し付けるのではなく、相手の話を聞いてその考えなどを尊重しながら、自分の意見や要求を率直に明確に伝えるコミュニケーション手法だ。アサーティブな自己表現、双方の主張を大切にしたコミュニケーションにより、お互いの価値観を受容し、意思疎通を積み上げていくのである。
「ちゃんとして」「しっかりして」などの曖昧な表現を避け、わかりやすい言葉で伝える。そして、肯定的で前向きな表現とともに「私はこう考える」「~してもらえると私は助かる」などと、「自分」を主語にした話し方を心がける。話す相手を視点にしてしまうと「(あなたは)~すべきだ」「(あなたは)その方法ではうまくいかない」といった伝え方になり、相手はそれを攻撃的な表現として受け止める可能性があるからだ
お互いの信頼関係が深まれば、もはやそこにパワハラやマイクロアグレッションが入り込む余地はない。ケア力を身につけることが、ハラスメント防止対策の一番の早道であると、筆者は考えている。(p85~86)
〇 職場や公の場に比べ、家庭や私生活での配偶者や恋人などとの関わりにおいては、互いに信頼して共感し合い、その関係を持続させるようとする状態、資質である「親密性」がより重要な要素となる。親密性は人々が抱く幸福感、幸福度と密接に関わっている。
男性には家事や育児をこなす能力が以前にも増して求められるようになり、それを十分になし得ずに戸惑うケースは多い。だが、それ以上に相手の心に寄り添い、思いやるといった情緒面でのケアの能力が乏しいがために、妻や恋人との親密性を築けずに「冷たい」関係となり、両者の間に亀裂を生じさせている場合が少なくない(p90)
〇 かつて権威を保持し、妻子を養う代わりに、愛情やポジティブな感情の言語表現、親密性を築く努力などを免除されてきたともいえる男性は、今や相手への情緒的なケアの提供をなくして、恋人や妻との絆を深めることは難しい時代を生きているのである(p131)
〇 男性のケア力の欠如が招く、深刻な問題を見ていくなかで、男性が他者に対してだけでなく、自分自身を労り、大切にできていないことが浮き彫りとなった。
他者を思いやり、大事にできないのは、そもそも自分に意識を向けて自分を大切にできていないからだ。男性が情緒的ケア、身体的ケアともに上手に向き合えるようになるためには、自分自身の心身を労わるセルフケアと、自らを意識と行為・行動の両面から変える自己改革が不可欠である(p190)
〇 他者には家族や職場の人など誰であっても、自分とは異なる考えや性質があることを認識することも重要だ。そのうえで、ケア力を身に付けるためには、相手を変えようとするのではなく、自分自身が変わらなければならない。
また、他者と自己をを比較し、周囲の評価に気を取られすぎると、自分に対して意識を向けて気を配ることができなくなる。言い換えれば、無意識のうちに自分自身をないがしろにし、ケアできていないということだ。セルフケアが欠如した状態で、相手と誠実に向き合い、情緒、身体両面のケアを提供できるはずがない(p236)
時代の要請が家族第一主義に向かっているのに、まだまだ変わらない「男らしさ」規範や組織・会社の論理にいかに対峙し、自己を守るか、が男性に問われているということですかな。
