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こころの健康に参考になる本の紹介 カウマンの本棚㉓

      「自殺予防の処方箋、命をつなぐケア」

                                杉山雅宏 著

              悠々舎-そらのこ出版(25.7.10発行 本体1,300円)

 

                    わが塾で毎年、セミナーと勉強会を開催していただいている先生の、

                   新刊です。

                    他の先生の本と等しく、たいへんわかりやすい内容です。

                    「死にたい」と最初に打ちあけられるのは、医師でも警官でもなく、

                   家族や友人であることが普通です。当然慣れているというこはないの

                   で、慌ててしまいますよね。子どもの自殺企図、自傷への対応が中心

                   ですが、一般人にも対応できるマニュアルもあり、有効なアドバイス

                   になると思います。

                    対応としては、

                   ➀まず、対応者が慌てないこと。自殺者は1万人当たり、1~2人でめ

                   ったにないこと、対して1度でも自殺を考えたことがある人は30%もい

                   るそうです。つまり、自殺を考える人は普通にたくさんいるが、実際実

                   行する人はとても少ないということを考慮して、いたらずに慌てないで

                   臨みましょうということです。

②とはいえ、緊急時は、ためらわずに119番か、110番する必要があります。

③「死にきる力」を取り除く。具体的な用具、道具を取り除く。

④孤独感を癒す。

⑤お荷物感からの脱却を図る。

 そして話の聴き方として、最低やってはいけないことは、

当事者の考え方、感じ方、行動に対して

➀無視しない

 その場をスルーして、本人も周囲も安心したとしても、本人を取り巻くストレスフルな現状、つまり疲労が蓄積し続ける状態が変わらない限り、うつの症状である「死にたい気持ち」はまたやって来ます。何回かスルーされた人に対しては、当事者が相談しにくくなってしまうものです。何らかのタイミングで「最近どう?眠れてる?もしかして調子悪くない?」のように、不調の内容を具体的に聞いてみるのもよいと思います。

②否定しない

 死にたい気持ちについても、周囲から「命を粗末にするものではない」「そんなことを思ってはいけない」「自分だけの命ではない」などと言い返されると、「死にたいと思うことは悪い思考である」と言うメッセージが伝わってしまいます。

 これは本人にとって「自責の念」と「自信のなさ」を刺激されるつらい応答になってしまいます。うつ状態の本人にとっては、周囲からしてみると、大したことでなくても、2倍3倍も不安を感じ、2倍3倍自信を無くし、2倍3倍自分を責めてしまう症状が出ているのです。

 「死にたい気持ちは言ってはいけないのだ」と、ますます本人だけで抱え込んで苦しむことになっていきます。

③アドバイスしない

 理由1:風邪をひいた時にスポーツトレーニングをしてもつらいだけのように、うつ状態で思考が回らず、自信がなく不安が強い時、明るく考えることなどできません。できないことをやればやるほど、誰もが自信を無くしていきます。

 理由2:うつ状態の方はとても不安が強いので、普通なら「よいアイディアだね」と言えるようなアドバイスでも、「とてもうまくいくとは思えない」のです。そんな「やっても無駄だろう」と思うことをやらなければならないとなると、非常に強い負担感を感じてしまいます。

 ではどうするのか?「寄り添う支援が効果的」だそうです。具体的には、

➀本人の生き方(考え方、感じ方、行動)を変えろとは言わない。

②なにげない日常会話を少し多めにする。

③支援者自身が落ち着くように、他の人と相談する。

④元気そうに見えても体調が悪く、疲れやすく、傷つきやすい本人のために、日常の世話をする。

 「この人は私を変えようとしたり、無理強いする人ではない」という人がいて、その人に生活を支えてもらうことは、死にたいという気持ちを抱える人にとって、とても大きな支えになります。これは身近に居るあなたにしかできないとても重要な支援なのです。

 

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