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こころの健康に参考になる本の紹介 カウマンの本棚⑨
「「精神医療」崩壊
メンタルの不調が心療内科・精神科で良くならない理由」
和田 秀樹 著
青春出版社(24.8.15発行 本体1080円)
著者は、老齢者の健康関係の本「80歳の壁」などで有名な方です。本業が
精神科医とは知りませんでした。
そんな著者が、精神科(以下診療内科を含む)ではメンタル不調を治せな
いと訴えた衝撃の本です。
「医者はロクに話を聞いてくれない」
「毎回5分診療で薬をだされるだけ」
「薬を飲んでいるのに、いつまでたっても治らない」
というような話をカウンセリング時にお聞きすることが時々あるのですが、
それは、たまたまその方が合わなかった(先生や薬に)だろうと思っていま
したが、実は日本の精神医療が、制度として崩壊しており、精神科では治せ
ない状況になっているというのです。
そもそも、薬での治療は、対症療法というべきで、具体的な症状を緩和す
ることはできても、その原因となったストレス源を減らす効果はないという
ことです。例えば、職場の人間関係が原因でうつになった場合、薬で回復し
ても、職場復帰すれば、またうつが再発する可能性が高いわけです。
治らない患者が増えれば、医院は繁盛し、ゆっくり患者に向き合う時間はなくなる悪循環が始まります。精神科の医療報酬は5分以上30分以内では同額なのだそうで、5分診断、薬処方だけの診療が必然的に当たり前になっていくということです。これでは、精神科の医院が増えても改善は見込めませんね。
メンタルの不調を原因から治すためには、深いカウンセリングによる自己理解の深化か、認知行動療法による訓練が必要であり、いずれの場合も時間がかかるとしています。
第2章から
・「予約3ヶ月待ちは当たり前」は当たり前じゃない。
・治らない患者はお得意様?
・治せない医者でも患者が離れていかないわけ。
・5分診療にも理由はある。
・高齢者のうつ病と認知症を見分けられない医者たち。
・小児精神医学の中途半端な流行が発達障害を増やした。
・子どもの精神医療もお手上げ状態。
・適切なメンタルケアができない「産業医」。
・モラルが崩壊した精神科医に要注意。
では、自分や身近な人がメンタルの不調を抱えた時、どうすればいいのか。
自分に合う医院を探すしかないということなのですが、これは現状ではたいへんそうです。